- 2022年8月10日
- 2022年8月15日
満たされぬ憧憬―竹久夢二「黒船屋」
竹久夢二の代表作「黒船屋」 大正時代を象徴する画家である竹久夢二は恋多き男として知られる。年上の岸たまきとの結婚と刃傷沙汰と経ての離婚、画学生の笠井彦乃との逃避行の末の別離、歳の離れたモデル「お葉」こと、佐々木カ子ヨとの愛憎。 「恋愛のない男女生活はもはや私の趣味ではない」という夢二にとって、恋愛遍 […]
竹久夢二の代表作「黒船屋」 大正時代を象徴する画家である竹久夢二は恋多き男として知られる。年上の岸たまきとの結婚と刃傷沙汰と経ての離婚、画学生の笠井彦乃との逃避行の末の別離、歳の離れたモデル「お葉」こと、佐々木カ子ヨとの愛憎。 「恋愛のない男女生活はもはや私の趣味ではない」という夢二にとって、恋愛遍 […]
梯子の頂上に登る勇気は貴い、 更にそこから降りて来て、 再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い。 大抵は一度登ればそれで安心してしまう。 そこで、腰を据えてしまう者が多い。 登り得る勇気を持つ者よりも、 更に降り得る勇気を持つ者は、 真に強い力の把持者である。 「速水御舟語録『美術評論』四巻三号 193 […]
「アカデミック!」 佐伯の絵を見るなり、ヴラマンクはそう大声を発したという。 この激しい否定に合って、彼は「自身の絵」の探求をはじめることになる。野獣派を代表する画家モーリス・ド・ヴラマンクを訪問したのは、1924年。渡仏してから、半年あまりが過ぎた頃だった。 彼はそれから暫くまるで自分の内奥を見つ […]
パロディ―文学作品の一形式。よく知られた文学作品の文体や韻律を模し、内容を変えて滑稽化・風刺化した文学。日本の替え歌・狂歌などもこの類。また、広く絵画・写真などを題材にしたものにもいう。(広辞苑 第五版 岩波書店) 桃太郎のパロディについて 桃太郎の話について今更、くどくどしく内容を述べる必要はな […]
―突然彼は、「放蕩」という言葉の意味が分かったような気がした―稀薄な空気のように消えて無くなること、有を転じて無となすこと。真夜中も過ぎた刻限に、店から店へはしごして廻るということは、すなわち人間の身体が大きな距離を移動するということに過ぎず、動作を次第に緩慢にすることが容認されるにつれて、そのため […]
「白の時代」とは モーリス・ユトリロ(1883年-1955年)は、パリ、モンマルトルの街並みを描いた画家である。 作品は約6000点に及ぶという。中でも1909年から14年頃の「白の時代」の評価が高い。 その名の通り、教会や小路などを描いた白を基調とする画面からは、静謐さと、そして、何とも言えない寂 […]
谷崎潤一郎が近代日本文学を代表する作家であることは論を俟たない。 執拗ともいうべき女性崇拝やマゾヒズムによって、初期には耽美的、悪魔的と評され、一方で、方言や俗語を駆使した高い水準の作品を産み出した。源氏物語の現代日本語訳も良く知られるところである。 作風の違う多くの名作を残した日本画家、速水御舟に […]