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游人
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游人

美術鑑賞や読書は心をここではない、どこかに誘ってくれる。 生きるために仕事は大切だけれども、それだけでは味気ない。 「人はパンのみにて生くるものに非ず」と思っています。

  • 2022年8月10日
  • 2022年8月15日

満たされぬ憧憬―竹久夢二「黒船屋」

竹久夢二の代表作「黒船屋」 大正時代を象徴する画家である竹久夢二は恋多き男として知られる。年上の岸たまきとの結婚と刃傷沙汰と経ての離婚、画学生の笠井彦乃との逃避行の末の別離、歳の離れたモデル「お葉」こと、佐々木カ子ヨとの愛憎。 「恋愛のない男女生活はもはや私の趣味ではない」という夢二にとって、恋愛遍 […]

  • 2022年1月3日
  • 2022年8月15日

頂きから頂きへ―速水御舟「炎舞」と「名樹散椿」

梯子の頂上に登る勇気は貴い、 更にそこから降りて来て、 再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い。 大抵は一度登ればそれで安心してしまう。 そこで、腰を据えてしまう者が多い。 登り得る勇気を持つ者よりも、 更に降り得る勇気を持つ者は、 真に強い力の把持者である。 「速水御舟語録『美術評論』四巻三号 193 […]

  • 2022年1月3日
  • 2022年1月30日

友情の終わり

友人関係の悩みはいつの時代にもあるらしい。 インターネットで検索すれば、「いつも誘うのは自分ばかりで、向こうからは誘われない」、「自分はいつも聞き役で、こちらの話は聞いてもらえない」、「気づけば、自分が奢ることが多い」、「約束を平気で反故にする」、「こちらの都合に配慮しない」などといった声を簡単に拾 […]

  • 2021年10月26日
  • 2022年8月15日

私の絵は純粋か―佐伯祐三とパリ

「アカデミック!」 佐伯の絵を見るなり、ヴラマンクはそう大声を発したという。 この激しい否定に合って、彼は「自身の絵」の探求をはじめることになる。野獣派を代表する画家モーリス・ド・ヴラマンクを訪問したのは、1924年。渡仏してから、半年あまりが過ぎた頃だった。 彼はそれから暫くまるで自分の内奥を見つ […]

  • 2020年12月13日
  • 2022年1月31日

パロディ文学―桃太郎の場合

 パロディ―文学作品の一形式。よく知られた文学作品の文体や韻律を模し、内容を変えて滑稽化・風刺化した文学。日本の替え歌・狂歌などもこの類。また、広く絵画・写真などを題材にしたものにもいう。(広辞苑 第五版 岩波書店) 桃太郎のパロディについて 桃太郎の話について今更、くどくどしく内容を述べる必要はな […]

  • 2020年12月3日
  • 2022年1月31日

断酒体験談―今を生きるということ

―突然彼は、「放蕩」という言葉の意味が分かったような気がした―稀薄な空気のように消えて無くなること、有を転じて無となすこと。真夜中も過ぎた刻限に、店から店へはしごして廻るということは、すなわち人間の身体が大きな距離を移動するということに過ぎず、動作を次第に緩慢にすることが容認されるにつれて、そのため […]

  • 2020年6月8日
  • 2021年10月25日

富士山登山

富士登山へ 富士山山頂を目指したのは、かれこれ9年前になる。 あまりに有名で、日本人にとって親しみ深い山―富士山。 が、ゆえにその厳しさを知らなかった。 本格的な登山は、これがはじめてだった。 もちろん、ひと通りの装備は揃えた。雨具や登山靴、ザックなど。 しかし、今振り返ってみれば、日本一の霊峰を制 […]

  • 2020年6月7日
  • 2022年8月10日

孤独な魂の発露―モーリス・ユトリロ「白の時代」

「白の時代」とは モーリス・ユトリロ(1883年-1955年)は、パリ、モンマルトルの街並みを描いた画家である。 作品は約6000点に及ぶという。中でも1909年から14年頃の「白の時代」の評価が高い。 その名の通り、教会や小路などを描いた白を基調とする画面からは、静謐さと、そして、何とも言えない寂 […]

  • 2020年6月6日
  • 2021年11月8日

谷崎潤一郎「文章読本」書評

谷崎潤一郎が近代日本文学を代表する作家であることは論を俟たない。 執拗ともいうべき女性崇拝やマゾヒズムによって、初期には耽美的、悪魔的と評され、一方で、方言や俗語を駆使した高い水準の作品を産み出した。源氏物語の現代日本語訳も良く知られるところである。 作風の違う多くの名作を残した日本画家、速水御舟に […]